こっから先ははじめてだから


「……ここ数年、六神君から奪える可能性を計算してるんだけどね。あ、そういえば刈谷さん計算得意だったよね?」

「え、ええ。まあ。」

「いや違うんだよ。そういう話じゃなくってさ。これ、」


そう言ってスーツのポケットから手紙らしきものを出してきた課長。ラブレターみたいな手紙に♡のシールが貼られていて、刈谷の身体は芯から底冷えした。 
       

「春風に渡しておいてくれる?あ、めちゃ大事な手紙だから、確実に渡しておいてね?」

「は、はあ。」


課長から手紙を受け取り、宛名を見れば『愛しの春風へ(笑)』と書かれている。


古風な愛の戦略に、やはりゆるキャラのような愛おしさを感じてしまった。


「朋!あんたまたサボって女の子ナンパしてんの?!」


その声で廊下を見れば、そこには総務部の古馬都さんがいた。


ゆれるミルクティーブラウンの髪を、大きなバレッタでハーフアップに留めた美女。ハーフのような顔立ちで、朋政課長にも負けないオーラがある女性だ。