こっから先ははじめてだから


「ねえ、ちょっと休憩スペース行かない?」      
「へ?」
「この優しい課長からの奢りだよ?来るよね?!」
「……は、はあ。」


こちらの陽気な朋政課長にて連行されようとしている私。しぶしぶ席を立つ。  
  

経理部の事務室を出ていこうとすれば、周りの視線が四方八方より突き刺さる。ちくちくする気まずさは、真顔で対応すれば万事OK。


私今から朋政課長に大事な仕事の話をされに行くだけですから。って雰囲気が作れるから。



エレベーターを通りすぎた奥にある自販機の前の休憩スペース。電子決済でCOSTAコーヒーを決済してくれた課長。


でもごめんなさい。私、コーヒー苦手なんです。 

 

「春風から僕のことなんか聞いてる?」


COSTAコーヒーのキャップを開けながらそう聞いてくる課長。


短いソファに脚を組む姿が大変様になっていらっしゃる。このままCM出れそうですね。


「いえ、なにも?」

「えっなにも?!」

「……はい?特にぱるるんから課長の話は聞いたことないですけど。」


今の今ままでカッコつけていた課長の風貌が、一気に鎮静される。項垂れながら額を抑えて、とても落ち込んでいる様子だ。忙しい人だなあ。