こっから先ははじめてだから


今男性社員に注意をしていた水樹さんも、肩を回していた白河さんも動きが止まっている。


「……お、おはようございます。朋政《ともまさ》課長。」

「おはよう刈谷さん!聞いてよ!昨日春風がね、電話で僕のこと間違えて“朋くん”って言ったんだよ?!」

「は、はあ」

「かわいくない?朋政先輩っていうところをさ、朋くん♡って!」


なんでこの人いつもこんなに陽気なの?光合成の燃費が良すぎるの??


周りの女性陣の目は、2個1(にこいち)で朋政課長に釘付け。


それもそのはず。彼こそが東のスパダリといわれている東京本部国際営業部課長の朋政青司《ともまさあおし》課長なのだ。


ドライな憂先輩とは対照的。直属の部下たちからは鬼課長とも呼ばれている一方で、無関係の部署の人間にはこのように晴れやかな笑顔を振りまいているのだ。


そして私の前では喜怒哀楽激しい。私の中ではゆるキャラ認定されつつある。         



「ねえ今日って春風《はるか》と福間《ふくま》と女子会するの?」

「え……なんで知ってるんですか……」

「春風が久々に刈谷に会えるって喜んでたから!」

「はい、私もぱるるんとまゆゆと久々に会えるの嬉しいです!」


そしてこの朋政課長、何を隠そう、現在六神(むがみ)君とお付き合い中の実来春風《みらいはるか》ちゃんのことが大好き。


皆の憧れの的であるスパダリが、片思いを包み隠すことなく公表しているのだ。


ほらね、ゆるキャラみたいな愛おしさじゃない?