白黒はっきりしない、男女のグレーな関係が割りと好き。
そんな風に言える大人って、人生に余裕も猶予もあるのかな?
朝起きたらね、憂先輩に後ろから抱きつかれて寝ていて、もう刈谷丸ごとどうにかなりそうだったよ?
憂先輩がね、刈谷の上半身を抱きかかえて、耳元で寝息を立てているの。
それがあまりに下心がみえない無防備な寝顔だったから、どきどきクラクラが、じわじわジンジンって。心臓が6センチ上ずって収縮しちゃった。
仮装大賞では『動かない抱き枕』で合格点狙えるかな。
割り切れない割り算には余りが出るのに、割り切れない私と憂先輩の仲には何かが不足していて。もどかしさばかりが不足部分を補っている。
とりあえずもどかしい気持ちは予算申請書類と一緒に提出して、海外クライアントからの入金処理を行っていく。
本日のレートにて為替換算されていく画面。
パソコン画面には反射した自分の姿も映らないのに、なんでこの人の気配は察知できてしまうのだろう。
「刈谷さん!事件!事件だよ!」
地味な経理部のフロア内に、一気に陽気なたんぽぽを咲かせる西洋風のスパダリ。
きっとこの人がエレベーターを降りた瞬間から場の空気が変わるのだ。



