こっから先ははじめてだから


それなのに俺は、爽ちゃんと出会うてからずっとグレーな気持ち。

こんなに自分から関わりたいと思った人間は初めてやし、自分でも気持ちが抑えられんと、つい必要以上に触れてしまう。

爽ちゃんはええ子やし、俺が触っても拒否らんと、こうしてうちに泊まりにも来てしまう。

ただ爽ちゃんは、俺でなくともきっと受け入れてしまうんやと思う。

今日見てしまった六神君とのやり取り。俺では踏み込めん二人の距離に、今まで感じたことのないような憤りを感じた。

正直、始めは誰にでもついて行ってしまいそうな爽ちゃんにむかついて。

危ないし、危機管理能力が低いのは女の子としてあかんと思う。

でも、勝手に自分がむかついていることが嫌んなって、自分は最低な人間なんやと自覚した。

それでも爽ちゃんが俺を受け入れてくれるんは、なんで?

やっぱり爽ちゃんがええ子すぎるから?


シャワーを浴び終えて、アイボリーのルームウェアに袖を通す。

爽ちゃんには洗い替え用に買っておいた、黒いルームウェアをとりあえず持って行くことにした。下が透けんと黒がええ思うて。

首にタオルをかけたままリビングに戻れば、すでに爽ちゃんは眠ってしまったようで、ソファで寝息を立てていた。

かわいくて信じられん。


「なあ、緊張してるんは俺だけやった?」


独り言をつぶやいて、そっと爽ちゃんの頬に手の甲を当てれば、爽ちゃんの柔らかい体温を感じた。

なんや、赤ちゃんみたいな頬でずっと触っていたくなってしまう。意味分からん。赤ちゃんなんてよう知らんのに。


「爽ちゃん、ごめんな?ちょっと背もたれ倒すな?」


勝手に許可を取って、爽ちゃんの身体に背もたれが当たらんよう気づかいながら、背もたれを倒してベッドにする。

寝室から毛布と布団を持ってきて、爽ちゃんに掛けた。

一瞬、下着を替えんと、このまま寝かせていいものなのかよぎったが、さすがに俺が変えるのはあかん。と自分に言い聞かせ、ソファベッドの端に座った。