こっから先ははじめてだから


微妙な距離感の座り方ってあるじゃない。

私はそれを期待していたんだけど、残念ながら期待外れ。

憂先輩は、端に座った刈谷の方へとずれてきて、体感ほぼゼロ距離の位置に座った。

腕が絶対絶妙に触れあっていて、恐怖症が一気に爆発してしまった。

駅のベンチに座る男女を脳裏に、タッチペンで描いてみる。すると不純異性交遊ってワードがAIによって生成される。

なんか私、#中学生 #思春期みたいなこと思ってるなあ。


「俺なあ、5年連続銅賞って、ずっとコンプレックスやったんよ。」

「……え?」

「世界数学オリンピック候補になれんかったこと、ずっと悔しくってなあ。」

「………」

「だから、周りに馬鹿にされてる気分なって、そこから思春期すねらせて。周りを突き放してん。」


全くそんなことには気付きもせず、先輩はただのあこがれでしかなかった私。日本数学オリンピックは金賞、銀賞が世界数学オリンピックの候補になって、銅賞ではなれない。

そっか。じゃあ私が話しかけた時、嫌な思いさせちゃったのかなあ。

おしるこの缶を両手で握りしめて、震える手をきゅっと抑える。