こっから先ははじめてだから


そしたら先輩が、私の肩から落ちそうなカーディガンの裾を直してくれた。


「ここ、ずれとる。」
「ふぇ」
「華奢やなあ。こわれてまいそう。」

 
左右の襟元を見て、「ええね。」って。ベージュのカーディガンを左右対称、上下逆台形になるように。きっとしてくれたんだと思う。       

初めて男の人と、こんな距離感バグったやもしれへん。

冷淡冷徹な無表情?大輪田君のイントラネット、バグが発生してるんじゃない??


「10分だけ、俺に時間くれませんか?」

「えっ、」

「日本数学オリンピックの人間には早々会われへん。もし、良ければやけど。あそこのベンチで話さへん?」


そう言われて、断る理由より受け容れる理由が一つ多い私。

首を縦に振って、一緒に駅のホームにある自販機で飲み物を買った。

先輩はさらりと、私のおしるこもスマホの電子決済で払ってくれたのに。「ツケときますんで。」って言われてね?


「あああの。利子は、なんパーセントですかっ」


って。ちょっと関西の方のノリに便乗してみた。先輩、私上手くできてますか?    
                

「後ほどメッセージで、支払明細お送りしますね?」

「えッ」


憂先輩がスマホを見せてきて。私はキョトンとしてしまう。