こっから先ははじめてだから


「この子、俺のもん。」


唇が振動しそうな距離でささやかれて、緊張感で空気を取り入れようと唇を開いたその隙間。


吸い付くようにキスをされる。


獺祭の香りよりも、大好きな先輩の香りが感じ取れて。息継ぎをしようとヒュッと息を吸い込めば、唇を塞ぎながら口内で舌を絡め取られた。


背の高い先輩に、必死に背伸びをする私。爪先がちょっとつらい。


それでも先輩は私の後頭部と腰あたりを掴んで、逃げないようにと大きな手で捕縛する。


「怖い?」

「はあ。ちょ、ちょっと、こわいです。」

「じゃあごめん。怖くても我慢して。」

「ええっ。」

「爽ちゃんの初めて、もう俺のもんって決まっとるし。」

「り、りっくん……じゃ、ないみたい……。」

「ほら、爽ちゃんのりっくんやで。かわいいやろ?」


私の小さな手を、先輩が自分の頬に当てて首を傾けて笑うから。もうかわいいとしか言いようがない。かわいくて狡い生き物代表、憂りっくん。