飲み会が終わり、先輩路線の電車に乗って先輩の家に行く途中。ついさっき公認となってしまった私たちは、恥ずかしさで上手く喋れない。
『獺祭』の味の感想を話し合って、とにかく『獺祭』を褒め称えた。
駅から先輩の家へと歩いていく途中。
ようやく夜冷ましができたところで、先輩が私の手を握ってくれる。
「……ごめん。言うてもうた。」
「……い、いえ。むしろ、嬉しいですし。全然だいじょうぶです。」
「家煎の失言が目に余って、自分が抑えられんかったわ。」
「家煎さん、憂先輩と真逆の人って感じですよね。」
「ほんま、あんなんが同期やなんて信じられへん。」
「ふふ。」
先輩が誰か他の人のことを話しているのは、なんだか嬉しい。例え失言が目に余る同期だとしても、きっと先輩にとっては大事な同期なんだと思えてしまう。
「爽ちゃん。あんな。俺、女の人と付き合うの学生以来なんやわ。」
「そ、そうなんですか?」
「やから、女の人の気持ちもよう分からん。もしあかんとこあったら、どんどん言うてほしい。」
「……あの。私、相当変わってるって言われるので、女の人とはちょっと違う感覚かもしれないです。」
「…うん。普通とは違うの、よう分かる。」
「う……」
「立派な褒め言葉やて。」
先輩のメゾネットまで、もうすぐのところ。
暗い路地裏で、先輩の顔が間近に迫り、きゅっと目をつむる。



