小窪さんはチャミスルのマスカットを飲んでいて、私はこのお店で一番お高い、『獺祭《だっさい》』 を飲んで感動している最中。
一切雑味なく、舌触りが絹のように滑らか。それでいて後味のキレの良さがくうぅうと疲れを吹き飛ばしてくれるエナジードリンクの最上級のような存在だ。
目の前に座る家煎さんが、合コンのような軽いノリで私にスマホを構えた。
「爽ちゃんと小窪ちゃん並んで〜。ああもう超超かわいい〜!こりゃセクハラも辞さないわ〜。」
家煎さんの隣に座る憂先輩が、スマホのカメラ部分に手をかざす。
「会社の後輩にそれはない。」
「なら上司ならいいって?」
「…………」
家煎さんが水樹さんにカメラを向けようとしたところで、「ちょっと解像度が悪い」とスマホを片付けた。
斜め向かいに座る憂先輩は、私と同じ『獺祭』を飲みながらあからさまに面白くなさそうな顔をしている。
今日はこの後、先輩のうちにお泊りに行く予定。先輩には、なるべく早めに切り上げようと言われている。



