こっから先ははじめてだから


「なんというか、いい、雰囲気ですね。」

「そう見える?」

「はい。大君も巡ちゃんも課長に懐いていますし、」

「うん、大と巡のことは好きだけど、正直古馬都に春風以上の気持ちは沸かないんだよね。」

「……そう、なんですね。」


何の迷いもないかのようにそう伝えてくれた朋政課長。やっぱりぱるるんへの想いにゆらぎはないらしい。


でも確かに。取引先の社長と不倫って……きっと古馬都さんのこと、そういう目ではなかなか見れなくなっちゃうよね。
      

「古馬都さん、残りの仕事は俺がやっておきますので。」


憂先輩が古馬都さんに声を掛ければ、大くんと巡ちゃんが古馬都さんの影から先輩を覗いた。

 
「…ガラスのこっぷ、ありがとうございました。」
「あ、りがとう、ございやした。」


小さな子供を前にしても表情は崩れない憂先輩。ハラハラと見守っていれば、先輩がゆっくりとしゃがみ込んだ。


「いえ。どういたしまして。」


二人の視線に合わせてふわりと笑いかけた先輩。なんだか私の胸の奥がじんわりと熱い。


大君と巡ちゃんは、恥ずかしそうにはにかみながら古馬都さんを見上げている。


「古馬都さん、残りの仕事は俺がやっときますので。今日はもう帰った方が、」

「ああ…うん。ありがとう。」

  
古馬都さんが立ち上がってズボンの膝を払った。