「大!!巡っ!!」
古馬都さんが血相を変えて、向かいのガードレールを乗り越え走ってくる。
でも大君も巡ちゃんも、朋政課長のズボンにしがみついたまま、古馬都さんへと走っていく様子はない。
「二人でお婆ちゃんにも言わず何しに来てんの!!どれだけ心配したか分かってんの?!」
古馬都さんが二人を見るなり声を上げて。大君と巡ちゃんはしゅんとしてうつむいてしまった。
「古馬都、褒める教育。」
「……分かってるわよ。」
課長が古馬都さんにそう促せば、古馬都さんがしゃがんで大きく両手を広げた。
「……ごめんね、大、巡。お母さんに会いに来てくれて、ありがとう。」
「お母さん、」
「おかあしゃ!」
大君は少し遠慮がちに、巡ちゃんは泣きべそを掻きながら古馬都さんの腕の中に綺麗に収まりに行った。
いつもの鬼でも、陽気でもない課長がふんわり笑って、なぜか古馬都さんの頭をバシッと叩く。
「なに?!」
睨む古馬都さんを無視した朋政課長が、私の元まで来て言った。
「ありがとね刈谷さん。きっと刈谷さんの雰囲気だから大も巡も話しやすかったんだと思う。」
「え?い、いえ。」
なぜ朋政課長がこの件についてお礼を言うのかは分からない。目をぱちくりとさせた私は、思わず口にしてしまう。



