「寒いですよね。何か温かい飲み物でもいりますか?良ければ、奢りますよ?」
自販機の前で私が訪ねれば、二人がゆっくりと首を横に振った。
「いいえ。大丈夫です。」
「母から、知らない人から物を貰ってはいけないと言われていますから。」
そっか。そうだよね。
ならせめてもと、私が二人に向かって手を差し出してみる。
「それなら、一緒に手を繋いで温まりませんか?」
「…………」
「…………」
余計に不審に思われたかも知れない。
私が苦し紛れの笑顔で乗り切りながら、手を引っ込めようとした時。二人が、そっと私の右手と左手をきゅっと握ってくれた。
心が、芯まであったまる。
なるべく大通りを歩いた方がいいかもしれないと、社員御用達のルートとは別のルートから会社の方へと戻る。
小さな子供が二人きりで会社に行くなんて、事情を聞いていいのか。もしくはネグレクトにならぬよう聞いた方がいいのか。
「……二人は、小学生ですか?」
「小学、1年生です。」
「凄いね!1年生で電車に乗っておうちから来たんですか?」
「……はい。」
「……もしかして、お母さんに会いに?」
「……本当は、すぐ会いたいんですけど。でもきっとお母さんの迷惑になるだろうから。」
「え?じゃあ、会わずに帰るんですか?」
「お母さんの仕事が終わるまで、外で待ってようかなって。」
そうはいってもこの寒さ。会社の前だなんて、特にビル風が激しくてとても長時間は待っていられないだろうなあ。



