こっから先ははじめてだから



「ごめん。やっぱ、やめとこうかな。」

「そっか。まあ俺も気まずくならないよう、気ぃ使うのもやだしな。」    
 
「なら最初から誘わないでよ。」  

「だってさ、この先いつ横浜のメンバーと飲めなくなるか分かんないじゃん。」

「え?」

「俺と春風、社内公認になっちゃってるじゃん。いつどこ異動で飛ばされるか分かんないって。」

「……そ、っか。」


言われてみれば、むがみんとぱるるんの強烈なカップルは、横浜支部100%知れ渡っているといっても過言じゃない。    


本当だ。公私混同をして欲しくない会社側からしたら、一刻も早くむがみんを異動させたいに決まっている。


もしかして、憂先輩もそれを危惧していた…?私と離れ離れにならないよう、会社では付き合っていることを隠したいと思っているのかもしれない。


……とはいうものの、不確かな安心材料を手に入れたからといって、早々に問題を解決に導くことのできる私ではない。


数学はゆらぎのない方程式があるから答えを導き出すことができるのだ。愛や恋などに正確な方程式なんてものはないのだから。とりあえず、自信もないのだ。