「なんか、急いでる?」
「課長に見つからないうちにとっとと帰りたい。」
「ああー……」
恋敵?ともいえる朋政課長に絡まれるのを危惧していたらしい。今日は週末じゃないから研修会後の飲み会もないんだね。
「経理部どう?決算に向けて多忙を極めてる?」
「そうだね。むごい現実に捕縛される毎日で、早く星に帰還したいよ。」
「帰還してなにすんの。」
「うだうだ、ごろごろ。」
「随分とリッチだな。」
駅まで数メートルの距離となったところで、むがみんがスマホ画面を見ながら言った。
「今から大輪田と二人で飲む約束してんだけど、刈谷も来る?」
「…え?大輪田君と?」
「うん。振った男とは気まずい?」
「…さすがむがみん。デリカシーとか一切ないね。」
「あってたまるか。」
同期と飲めば、色々気が紛れるかなとは思うところ。
でも私を好きでいてくれた男の子と飲むのは、後ろめたさがあるのも事実。もっと大人数ならいいのかもしれないけどね。
もし私が逆の立場で、例えば憂先輩が古馬都さんと小窪さんと飲みに行くとなったらやっぱりいい気はしない。



