こっから先ははじめてだから


そういえば。憂先輩も当初は営業職で、そこから経理部、総務部に異動したと言っていたけれど。


まさか、憂先輩と古馬都さん、口裏合わせて同じ職種を希望したとかじゃないよね?いやいや、自分公私混同の妄想が激しいですから。


昔、何かあの二人にあったとか?


いやいやまさか。そんなわけ、ないよね。いくらドライな憂先輩だって、あんなに非の打ち所がない美女に踊らされるわけないってあはははは。ふう。



17時40分。いつもより早めに帰れそうなスイスイスイの水曜日。キンキラキンの金曜でもないけれど、憂先輩に連絡でも入れて、夕飯ご一緒しませんか?って。


言えるわけないよね。。リミット10分の立ち食いそばだとしても断られそうで怖い。


揺れる足取りで、オフィス1階ロビーのゲートで社員証をかざす。隣のゲートを抜ける人物が、「あ、」と小さく声を上げた。


「刈谷じゃん。」

「……むがみん。そっか。合同研修だからか。」


足取り速くガラスの自動ドアを抜けていくむがみん。横浜支部のむがみんは、今日は合同研修会で本部に来ている模様。


きょろきょろと周りを警戒するように歩幅を大きく前進する。


恐らく今彼は何かに狙われている。 


細い路地へ入ったところで、どうやら私を気にして待っていてくれたみたい。