なんであの時、はっきりと、“古馬都さんに”って言ってくれなかったのかな。濁されてからこんな事実、知りたくなかったよ。
凄い。自惚れって、思った以上に自意識過剰なものだったんだね。
別に、普段他人には興味のない憂先輩が、古馬都さんにお土産あげてお昼の約束取り付けているなんて、全然、大した事じゃないのに。
……大したこと、だよ。
私からしたら、十分大した事だよ。先輩。
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胸の奥にある痛覚が、大きく反芻する鼓動に打ち付けられて反応しているはずなのに。刈谷の痛覚はどうも鈍いらしい。
憂先輩と古馬都さんのいる食堂を後にして、約10分後にようやく痛みを感じた。
1階のラウンジにあるソファに座り、お昼を買いに行く元気もなく、ただ天井を見て過ごす。
……私のこと、今までお昼に誘えなかったのって。やっぱり付き合っていることを隠すため?
でも先輩、付き合う前から会社でもスキンシップ激しかったし。今さら隠すのもおかしな話だよね……。



