おちょこがない代わりに、部屋に置いてあった湯呑みに『さけ武蔵』を注ぐ。丸くて浅くて白い湯呑みから、重みのある香りと琥珀色が醸し出される。
「あー、いいキレ感でさっぱりしとるね。」
「肉汁たっぷりのお肉によく合いますね。」
網の焼きめがついた、ぶ厚めのお肉によく似合うお酒。甘味と果汁感のあるタレにお肉をしっかり沈めて、一口では頬張れないお肉を噛み切った。
「外での肉と酒、たまらんなあ。」
先輩がお肉を食べている姿がなんだか新鮮で、油ものは食べないという噂を思い出した。
「……りっくんも、お肉、たべるんですね。」
「え?そら、食べるよ?俺、なんか宗教的な信者だと思われてる?」
「いえ、噂で。憂先輩は油ものは食べないって聞いたことがあって。」
「オニオンリング、大好きやけど?」
「……それでその体型ですか!羨ましい。」
長身で足も長くて腰も細い。おまけに顔も小さくてお酒も強い。
うわあ。私、とんでもない人と彼氏になっちゃった?



