「バーベキューって普通、大人数でやるもんやんな。」
「ふふ、二人きりのバーベキュー、初めてです。」
「爽ちゃんはバーベキュー、友達としたことある?」
「ありますよ。横浜支部の同期と一緒に。」
「俺は、初めて。」
何気なく、ぽつりとつぶやいた先輩。
飲み会も来ないし、あまり友達とも遊ばないタイプなんだろうなあ。でもグランピング経験はあるって言ってたよね?
先輩にとって初めてのバーベキューなら、私が率先して準備しないと!
でも先輩はすでに軍手をはめて、手際よく着火作業を進めている。
新聞紙を敷いて、その上に着火剤、木炭を並べて着火すれば、うちわでパタパタと扇いでいく。
すみません、私、食べ物しか焼いたことないんです。
「寒いよな?暖炉もつけよか。」
「あ、私やります!」
「……できる?」
「や、やってみます!」
小さな煙突のついた暖炉。使い込まれているのか、いい具合に渋味を醸し出している。
バーベキュー用の火と同じ要領で、新聞紙と着火剤、薪を暖炉の中にくべていく。
「ほな、点火して。」
私がチャッカマンを持って、暖炉の中に火を灯す。でも実際は、私の手をつかんで誘導する先輩の作業に過ぎなかった。
つかまれた手は、暖炉がなくても十分火照っている。



