その日、孤児院では部屋替えがあった。
これは珍しいことではなかった。
孤児院は人の出入りが激しかったので、しょっちゅう部屋が替わっていた。
今日から何号室のベッドを使ってね、と職員に指示され、俺は言われた通り荷物をまとめ、部屋を移動した。
荷物と言っても大した荷物はない。孤児院では、個人の持ち物なんてほとんど持てないから。
荷造りなんて、小さな鞄一つで充分だった。
まぁ、荷物が少ないと部屋替えも楽だから、良いんだけど。
言われた通り部屋を出て、指示された部屋に入る。
そこも前の部屋と変わらず、ベッドがすし詰め状態だった。
部屋の広さとベッドの数が見合ってないんだ。この孤児院は。
室内を見渡し、隅っこの二段ベッドの下段が、シーツも剥がされて裸になっていることに気づいた。
あぁ、あそこか。
今日からこのベッドで寝ることになるらしい。
俺は空いたベッドに荷物を置き、腰を下ろした。
新入りが入ってきたというのに、ルームメイトは知らん顔で自分達のことに集中していた。
その孤児院では、カードが流行っていた。賭け事は禁じられていたが、皆隠れて金銭や菓子等を賭けていた。
俺も誘われたが、やったことはない。
正直、あまり興味がないのだ。
新しい部屋でも、ルームメイト達はカード遊びに夢中だった。何を賭けているのか知らないが。
見たところルームメイトは俺より年下だ。多分、十歳かそこら。
十歳の子供が賭け事に興じるとは。世も末だな。
俺はルームメイトがカード遊びをするのを、ぼんやりと眺めていた。
すると。
「よっ。お前、新顔か?」
「…」
ひょいっ、と。
いきなり視界の中に飛び込んできたのは、上段のベッドの少年だった。
上段から身を乗り出し、身体を逆さまにして、下段に座っていた俺を覗き込んでいた。
これは珍しいことではなかった。
孤児院は人の出入りが激しかったので、しょっちゅう部屋が替わっていた。
今日から何号室のベッドを使ってね、と職員に指示され、俺は言われた通り荷物をまとめ、部屋を移動した。
荷物と言っても大した荷物はない。孤児院では、個人の持ち物なんてほとんど持てないから。
荷造りなんて、小さな鞄一つで充分だった。
まぁ、荷物が少ないと部屋替えも楽だから、良いんだけど。
言われた通り部屋を出て、指示された部屋に入る。
そこも前の部屋と変わらず、ベッドがすし詰め状態だった。
部屋の広さとベッドの数が見合ってないんだ。この孤児院は。
室内を見渡し、隅っこの二段ベッドの下段が、シーツも剥がされて裸になっていることに気づいた。
あぁ、あそこか。
今日からこのベッドで寝ることになるらしい。
俺は空いたベッドに荷物を置き、腰を下ろした。
新入りが入ってきたというのに、ルームメイトは知らん顔で自分達のことに集中していた。
その孤児院では、カードが流行っていた。賭け事は禁じられていたが、皆隠れて金銭や菓子等を賭けていた。
俺も誘われたが、やったことはない。
正直、あまり興味がないのだ。
新しい部屋でも、ルームメイト達はカード遊びに夢中だった。何を賭けているのか知らないが。
見たところルームメイトは俺より年下だ。多分、十歳かそこら。
十歳の子供が賭け事に興じるとは。世も末だな。
俺はルームメイトがカード遊びをするのを、ぼんやりと眺めていた。
すると。
「よっ。お前、新顔か?」
「…」
ひょいっ、と。
いきなり視界の中に飛び込んできたのは、上段のベッドの少年だった。
上段から身を乗り出し、身体を逆さまにして、下段に座っていた俺を覗き込んでいた。


