落ち着くまで外にいて、体が冷えていることに気づいて。

鍵を閉め、非常用の電子鍵も閉め、明るい部屋に戻ったら。


「姉ちゃん」

「...海吏......」


寝たであろう麦以外全員が私のことを見つめていた。


「千代、峰子、...大丈夫?何もされなかった?いやされてたよね...本当にごめん...っ」


「お姉ちゃん、...」

紗和が言う。


「姉ちゃん、恋愛するのと、妹を危険にさらすのは違うよ。...だってこれは───」


海吏が眉をひそめる。


「ごめん、みんな...」


もうわけがわからなかった。



でも。

でも私は



「ほんと、見る目ない」



吐かれたその言葉に、ずっと秘めていた何かがぷちん、と弾けた。



「そんなこと言って......!見る目ないよ、ないけど、ないけどっ...」


零れた一粒の雫を隠したくて。



「こんな状況...親を失くした兄弟を養ってる、疲れた女と付き合ってくれる人が、ほんと...どれだけの数だけいるっていうの?!!」








あーあ、言っちゃった、と何処か冷静に思う自分も確かにいた。




これだけは絶対に口にしてはいけないと。


仲良くやってきた私たちが壊れてしまう。








「...ちょっと出てくる。明日の朝には...戻るから」




荷物だけ掴んで飛び出した。




私が、壊れてしまう────...