片翼を君にあげる④


「な、な、な、……なんでここに?!」

不意を突かれて、頭が回らない。
今日は会う約束はしていなかったし、ポケ電で昨日やり取りした際も何も言っていなかった。

それなのに、ツバサが今、目の前に居るーー。

お父様やお母様に認められて正式に婚約者になったとはいえ、今まで普通の恋人同士のように"お互いが会いたい時に会う"と言う経験をして来なかった私には、まだまだ慣れなくて喜びよりも先に驚きがきてしまう。……でも。

「なんで、て……。なんでだろ?」

「え?」

「ん〜、なんでだろ?急に、会いたくなった」

「〜〜ッ!」

少し考えた後の、素直で、直球な言葉。優しい笑顔。
驚きの鼓動が、甘い響きに一瞬で変わったのを感じずにはいられなかった。

私も会いたかったーー。

キュンと胸が締め付けられる。
ドキンドキンと高鳴る鼓動を感じながら見上げていると、ツバサの手がゆっくりと私に伸ばされてーー……。

「リハビリ、お疲れ様」

ーー……ん?
……。……ッ、リハビリ!!

しかし、その言葉に甘いひと時はすぐに終了。
私を労ってくれたツバサの言葉。"リハビリ"と言う言葉に我に返って、私はツバサの手を避けると今の自分の状況を思い出した。

リハビリ後で汗をかいている。
当然お化粧なんてしていない。
髪の毛ボサボサ。
おまけに、動きやすい部屋着姿。

大好きな人の前で絶対に有り得ない姿だった。

サァ……ッと顔が青ざめる。思わず「いやぁ〜!!」と叫び声をあげて両手で顔を隠すが、ツバサはそんな私の心境など分からないようでキョトンとしていた。

……
…………。

【次回更新は10月5日(月)になります🙏】