だから、私も……。
「っ、でも……ダメ、なのっ。譲れない、の」
「……うん」
「ツバサだけは……っ、譲れないッ!ごめんなさいッ……!!」
自分の気持ちを素直に、ランにぶつける事が出来た。
この時間は、クリスマスの日に過ごす事が出来なかった私とランの時間。
私は、何度も何度も「ごめんなさい」と繰り返してた。
そんな私に、ランは「うん」って。「分かってる」って言って、暫く抱き締めてくれていた。
もっと早くにーー……。
こんな風に互いの本心を曝け出して、例え喧嘩になってもぶつかり合える関係になりたかった。
こんな形で皮肉ではあったけれど、この瞬間に、私とランは"本当に解り合えた"のだと思う。
……けど。
私達の別れの時は、そう長くは待ってくれないの。
「……レノア、聞いてほしい事があるの」
静かな空間の中。
ランの声が、さっきまでと少し変わった。
その声色になんだかハッとして、ようやく涙が止まった私がランを見ると、その瞳には戸惑いの色が見えた。
聞いてほしい事がある。そう言いながらも、どこか言いづらそうに瞳が揺れているラン。
その様子は、"言い出しづらそう"と言うよりか、私には"信じてもらえるか心配している"かのように見えて……。私は、ランの手をぎゅっと握り締めて言った。
「何でも、言って?
私なら大丈夫。何を言われても、大丈夫!」
何を言われても。
聞かされても、大丈夫ーー。
今、この時の私はそう強く思ったんだ。
見つめ合う私達。
そしたら、私を見て迷いのなくなった様子のランが、手を握り返しながら口を開く。
「私は、あの時操られていたの」
ランから告げられる真実。
そして……。
「気を付けて、まだ終わってないっ。ツバサを闇に引きずり込もうとする影は、まだ消えてないのっ!」
「ーー……え?」
……
…………
"それ"が嘘でない事が解るのは、前世を思い出し、ランの死を乗り越えた、今の私だったから……だった。
運命を操る何者かが、居るのだーー。
と。
……
…………。
【今回は1ページ更新になります🙏
カメ更新で本当に申し訳ありません💦】



