ーー……っ。
………。
…………
……、…………え、っ?
あまりの眩しさに目を閉じてしまった私が次に目を開いた時、そこは広い原っぱだった。
サァ……ッと風が吹いて、草の匂いを含んだ香りに包まれると、何だか不思議な暖かさが胸に灯る。
私、この場所を知ってるーー……?
見た事も、来た事もない筈の場所なのに、私は"知っている"と感じた。
何故ーー?
そう自分の心に問い掛けた時、背後に誰かいる気配を感じて、私は振り返った。
すると、そこに居たのは言葉では良い表せない程に美しい人。長い白金の髪に、白金色の瞳。司祭のようなローブに身を包んだ、人。
その人はどこかツバサに似ている気がした。
そして、良く見ると……その人の背には翼が生えていた。けれど、片翼だった。
その姿に気付いた瞬間、何故か私の瞳から自然と涙が溢れてこぼれ落ちていた。それと同時に、
「っ、会いたかった……!」
口が自然と動き、私はそう言っていた。
胸いっぱいに広がる想い。
頭の中に一気に記憶が流れ込んできた。
この原っぱで初めて出逢った時の事。
自分とは違う容姿に、異国の人かと内心戸惑った。
言葉を交わす事は出来なかったけど、必死に身振りで気持ちを伝えてくれる彼との時間は、いつの間にか心地良くなっていた。
私を見つめてくれる優しい瞳に、密かに心をときめかせていたの。
なぜ、こんなにも堪らない気持ちを今まで忘れていたのかーー……?
まるで記憶喪失から一気に目覚めたような感覚だった。
そんな私の目の前で、見つめ合っていた彼の瞳からも涙が溢れて頬をつたり落ちる。
けど、彼は微笑ってくれた。
あの頃と変わらない、優しくて美しい笑顔。
そして、ゆっくりと歩み寄ってくると、そっと私の頬に触れて涙を拭ってくれながら言った。
「私も、会いたかった」
「っーー……!!」
初めて聴く彼の声に、初恋の音が鳴る。
突き動かされるように、私は彼に抱きついた。



