リン・ドーーン

ディン・ドーーン

ゴーン ゴーン ゴーン・・・


荘厳な鐘の音が、空気をさざ波のように震わせている。

不思議なことに、それはとても大きく引っ切りなしなのに、ちっとも耳障りにならない。

むしろ、身体が癒えるような心地よさすら感じる。

ペィラは半透明の天井を見上げると、キョロキョロと不思議な鐘を探した。


「こっちよ。」


白い床をカツンカツンと鳴らしながら、メグが先にたって誘導する。

氷のレンガで造られた巨大なドーム。

その壁のあちこちに、たくさんの穴が開いている。

迷子になったら大変と、ペィラは慌てて彼女のそばに駆け寄った。


穴の向こうは、先の見えない道が続いていた。

ゆらゆらと揺れるキャンドルの灯り。

二人は何本もの雪柱がそびえる、ほの暗い廊下を延々と歩いた。

実に幻想的で美しい。

けれど・・氷の洞窟に迷い込んだようで、不安が膨らんでくる。

それほど寒くないはずなのに、ペイラは工場で借りたジャンパーを引き寄せた。


どのくらい歩いただろうか。

疲れ果てたペィラが、どこまで続いているんだと、メグの前に回り込んだ時だった。


「さぁ、ここよ。」

「へ?」


ふいに、大きな扉が現れた。

不思議だった。

さっきまでは、柱とキャンドルの並んだ壁しか見えなかったのに、突然ぽっかりと飴色の扉が浮き上がってきたのだ。


「この扉はね、その人にとって、必要なときにしか開かないの。」


メグの優しい言葉に答えるように、扉がギィと音をたてた。