「貴方を助けたのは、あたしじゃないわ。伝説のトナカイ、ブリリアントよ。」

「昔の、な。」


ルベリーがせせら笑うと、メグは彼に鼻先を突き付けて憤った。


「ベリー!失礼よ!」

「お前さんどうかしてるぜ。あんな老いぼれに構うのはメグくらいだと、みーんな言ってるさ。」

「ベリー!」


老いたトナカイ。

ふいに空を飛んだトナカイの残像がよぎり、ペイラの胸の中が一気に温度をなくした。

ペィラはまたぼんやりと考えに耽った。

繰り返す自問自答に、二人?の声が遠くなっていく。

私は、死んだ。

彼?は、そう言った。

じゃあ、ここは天国なのか?

そう思いかけて、ペィラはフルフルと首を振った。


「・・・そんなわけ・・」

「ペィラ、聞いてるの?!」


ふいにメグが耳元で叫んだ。


「わっ、・・うわっ、何だ?!」


我に返った瞬間、ペィラはルベリーのあまりの近さに跳びずさった。


「何ぼんやりしてんだ?まだ慣れてないのか、こっちに。遅ぇなぁ。」

「ベリーは馴染みすぎだわ。」


辛口のメグの心配にも、ルベリーはへらりと笑う。

短い首をすくめておどけるルベリーを一瞥し、メグは軽くため息をついた。


「じゃ、行きましょう、ぺィラ。クローズ様をお待たせしてしまうわ。」

「へ?」


メグはもう一度、今度は深くため息をつく。


「クローズ様よ。この国の創始者、サンタ・クローズ様に挨拶に行って、ここにいるお許しをもらうのよ。」