~第八章~
授業終了のチャイムが鳴り響き、いよいよ放課後が訪れる。私たち四人は時間が迫ってくる感覚が次第に増していった。その緊迫感がまるで霧のように私たちを包み込んでいく。
「それじゃあ、そろそろいくか。」
「そうだね。」
「「うん。」」
私たちが動き出したのは学校終了後から二時間ほど経ってからだ。ここから目的地までは約三十分。ゆっくりと歩いていけば丁度いい時間につく。アリバイ対策の荷物はすべて学校のロッカーにしまい、最小限の荷物を持って私たちはあのデパートまで向かっていった。
夕暮れの街は静かで、赤みがかった空が徐々に紫色に染まっていく。足音だけが響く中、私たちはそれぞれの思考に沈み込んでいた。背筋を伸ばし、前だけを見つめる仲間たち。緊張がピークに達しているのが分かる。言葉にする必要はない。みんな同じ気持ちでいるから。
ついに着いた。前回来た時とはまたく違う。誰かが「大丈夫だよね。」とつぶやく声が聞こえた。時間は丁度午後八時。一定数の店が片付けをはじめ、入口に隙ができはじめる時間だ。
「実行開始。」
私たちは、以前に決めていた潜入方法を用いて潜入を開始した。まず二手に分かれ、それぞれ別の飲食店に入る。三十分間はそこで身を潜めるのだ。
「メックに到着。」
「こっちもモフに到着。」
その後、下見時に決めた隠れ場に移動し合流する。
「全員集合したね。」
ここで人目につかず、防犯カメラにも映らない場所は、ここしかない。誰もいないことを確認し、声を潜めて移動する。
「…よし、プリクラ内に隠れるよ。」
ここのゲームセンターはプリクラが三台、平行線上に設置されている。斎藤と美咲はそれぞれ別の機械に、私としずくは同じ機械に身を潜めた。今の所警備員の姿は見えない。それでも、気を抜けば返り討ちに遭うかもしれない。
(油断できない・・・)
「大丈夫だよ、一人じゃないから。」しずくが私に囁いた。
なぜだろう。それだけでまた、心が軽くなっていく。出会って、仲良くなって、まだたったの数か月。それなのになぜこんなにも彼女に、いや彼女たちに救われているのだろう。絶対に相交わることのないただのクラスメイトだと思っていたのに、いつの間にかこれからも一緒に居たいと思えるような人たちになっていた。
——絶対に失いたくない——
刻々と時間が進んでいく。次の行動まであと少し。目くばりしながら警備員の位置を確認し、視線で指示を送る。警備員が予想外の動きをしないように祈り続ける。普段なら絶対に思わないことを考え、脳が混乱してきた。二十二時まであと十秒。
(・・・四、三、二、一・・・)
零のタイミングで機器から抜け出し、警備員も交代の時間に。隙が生まれる瞬間だ。合図を送り合いながら非常階段へと向かった。ここに監視カメラは存在しない。加えて警備員はエスカレーターを利用して移動しているため隠れ場としては最適だ。
「二十二時五十分になったら上にいくよ・・・」
声が響く。非常階段は薄暗く、冷たく感じた。時計がいつもよりスローモーションに見える。
(あと五分・・・)
ドキドキと高鳴る心臓の音が耳に響き、喉の奥が乾いていく。けれど不思議と緊張はしていない。
「あと一分・・・。」
しずくが小声で囁くと、心の中でカウントダウンを始める。
(五、四、三、二・・・)
非常階段で音を立てずに上がっていくことは容易ではない。四人で慎重に屋上まで登っていった。美咲が扉に手を掛ける。
「⁉あ、開かない・・・。鍵、締まってるよ。どうする・・・?」
無論、鍵を持っている人は誰もいない。
(もしかして、作戦失敗・・・)
「大丈夫だ。しずくー、持ってきた?」
「もってきてるよ。」
しずくはポーチからヘアピンを取り出した。
「二本で足りる?」
「おう。サンキューな。」
斎藤はヘアピンを鍵穴に差し込み、わずか五秒で開錠した。
「スゴ‼」
「こんなもん朝飯前だ。(思ってたよりも簡単に開くんだな・・・)」
こいつの明るさは底が知れないな。
「意外な特技持ってんじゃん。」
「まあな、行くぞ。」
——ガチャ・・・
授業終了のチャイムが鳴り響き、いよいよ放課後が訪れる。私たち四人は時間が迫ってくる感覚が次第に増していった。その緊迫感がまるで霧のように私たちを包み込んでいく。
「それじゃあ、そろそろいくか。」
「そうだね。」
「「うん。」」
私たちが動き出したのは学校終了後から二時間ほど経ってからだ。ここから目的地までは約三十分。ゆっくりと歩いていけば丁度いい時間につく。アリバイ対策の荷物はすべて学校のロッカーにしまい、最小限の荷物を持って私たちはあのデパートまで向かっていった。
夕暮れの街は静かで、赤みがかった空が徐々に紫色に染まっていく。足音だけが響く中、私たちはそれぞれの思考に沈み込んでいた。背筋を伸ばし、前だけを見つめる仲間たち。緊張がピークに達しているのが分かる。言葉にする必要はない。みんな同じ気持ちでいるから。
ついに着いた。前回来た時とはまたく違う。誰かが「大丈夫だよね。」とつぶやく声が聞こえた。時間は丁度午後八時。一定数の店が片付けをはじめ、入口に隙ができはじめる時間だ。
「実行開始。」
私たちは、以前に決めていた潜入方法を用いて潜入を開始した。まず二手に分かれ、それぞれ別の飲食店に入る。三十分間はそこで身を潜めるのだ。
「メックに到着。」
「こっちもモフに到着。」
その後、下見時に決めた隠れ場に移動し合流する。
「全員集合したね。」
ここで人目につかず、防犯カメラにも映らない場所は、ここしかない。誰もいないことを確認し、声を潜めて移動する。
「…よし、プリクラ内に隠れるよ。」
ここのゲームセンターはプリクラが三台、平行線上に設置されている。斎藤と美咲はそれぞれ別の機械に、私としずくは同じ機械に身を潜めた。今の所警備員の姿は見えない。それでも、気を抜けば返り討ちに遭うかもしれない。
(油断できない・・・)
「大丈夫だよ、一人じゃないから。」しずくが私に囁いた。
なぜだろう。それだけでまた、心が軽くなっていく。出会って、仲良くなって、まだたったの数か月。それなのになぜこんなにも彼女に、いや彼女たちに救われているのだろう。絶対に相交わることのないただのクラスメイトだと思っていたのに、いつの間にかこれからも一緒に居たいと思えるような人たちになっていた。
——絶対に失いたくない——
刻々と時間が進んでいく。次の行動まであと少し。目くばりしながら警備員の位置を確認し、視線で指示を送る。警備員が予想外の動きをしないように祈り続ける。普段なら絶対に思わないことを考え、脳が混乱してきた。二十二時まであと十秒。
(・・・四、三、二、一・・・)
零のタイミングで機器から抜け出し、警備員も交代の時間に。隙が生まれる瞬間だ。合図を送り合いながら非常階段へと向かった。ここに監視カメラは存在しない。加えて警備員はエスカレーターを利用して移動しているため隠れ場としては最適だ。
「二十二時五十分になったら上にいくよ・・・」
声が響く。非常階段は薄暗く、冷たく感じた。時計がいつもよりスローモーションに見える。
(あと五分・・・)
ドキドキと高鳴る心臓の音が耳に響き、喉の奥が乾いていく。けれど不思議と緊張はしていない。
「あと一分・・・。」
しずくが小声で囁くと、心の中でカウントダウンを始める。
(五、四、三、二・・・)
非常階段で音を立てずに上がっていくことは容易ではない。四人で慎重に屋上まで登っていった。美咲が扉に手を掛ける。
「⁉あ、開かない・・・。鍵、締まってるよ。どうする・・・?」
無論、鍵を持っている人は誰もいない。
(もしかして、作戦失敗・・・)
「大丈夫だ。しずくー、持ってきた?」
「もってきてるよ。」
しずくはポーチからヘアピンを取り出した。
「二本で足りる?」
「おう。サンキューな。」
斎藤はヘアピンを鍵穴に差し込み、わずか五秒で開錠した。
「スゴ‼」
「こんなもん朝飯前だ。(思ってたよりも簡単に開くんだな・・・)」
こいつの明るさは底が知れないな。
「意外な特技持ってんじゃん。」
「まあな、行くぞ。」
——ガチャ・・・



