~最終章~
――ジリジリ ジリジリ――
「…八時か…起きなきゃ!」
「おはよう、母さん。朝ご飯ありがとね。行ってきます・・・。」
あの日の翌日、家に帰ると母が涙を浮かべながら待っていた。私が家を空けた数時間、母も今までの自分の行動を振り返っていたようだった。あの時、美咲に言われた言葉も、母の胸に深く刺さっていたらしい。そして、あの人から初めて「ごめんなさい」と本音で言われた。その瞬間、何かがふっと溶けたような気がした。
「お父さんが亡くなってから、私が沙耶香ちゃんを守らないとって、空回りしちゃってたみたいね。沙耶香ちゃんのことを思って、沙耶香ちゃんがお父さんみたいになりたいって言っていたのを思い出して・・・。本当に今まで辛い思いをさせてごめんなさい。」母の本音が初めて聞けた気がした。あの人も、私を心配していたんだ。本当の意味で母と向き合えた日になったかもしれない。
その日から、私は自立への一歩を踏み出すことにした。朝は自分で起きて、朝ご飯もちゃんと食べて、将来についてじっくり考えるようになった。そして、母に伝えた。
「私…女優になりたいんだ。」
母は一瞬、困惑した表情を見せたけれど、深呼吸をして私の話を聞いてくれた。いつもなら癇癪を起し、話し合いの余地すら与えてもらえなかったから少し驚いた。でもきっと、母も変わりたいと思っているんだと思う。あの夜から少しずつだけど、私たち家族の間に新しい何かが生まれ始めている気がした。こんな日常が訪れるなんて、まだ信じられない。本当に、三人のおかげだ。感謝してもしきれない。
結局、許可はまだもらえていない。だけど、それも仕方ないことだと思う。突然「女優になりたい」なんて言われて、すぐに受け入れてくれる親なんていない。だけどそこであきらめるような私はもう存在しない。少しずつでも母に本気を伝えていく。あの特別な思い出のように、私もいつか誰かに夢を与えられる人になりたい。絶対になってみせる。そして、三人にいつか恩返しができるようになりたい。
あの日のこと、正直まだ明確には思い出せない。四人でデパートに忍び込んで「月の子」に会えたところまでは覚えているけど、それ以降の記憶が曖昧だ。気が付くとデパートの外にいて、夜明けの空に小鳥のさえずりが響いていた。いつの間にか三人も居なくなっていて、再会できたのは学校についてからだった。なによりも、「月の子」の姿だけがどうしても思い出せない。あれが夢だったのか、それとも現実だったのか、自信が持てない。でも、確かに何かが変わった。
学校へ向かいながら、一人胸の中であの日の出来事を思い出そうとしていた。
「三人とも、おはよ。今日、早いね。」
私の挨拶に、三人がいつもの笑顔で応えてくれる。
「「「おはよ~!」」」
「ねね、思い出した?デパートのこと。」
「ごめん、まだイマイチ。四人で「月の子」に会ったところまでしか・・・。」
「前にも言ってたけど、「月の子」って?私たちは気が付いたら家にいて翌日になってたんだよ・・・。誰かの家にお泊りするって話だったはずなのにさー。」
美咲が不満そうにつぶやく。隣で斎藤はすごい速度でうなずいていた。
「・・・沙耶香、やっぱり覚えてないんだね。」
「?何が?」
しずくが小さくため息をつき、ちょっと苦笑しながら言った。でもなんだか悩みの種が吹き飛んだような清々しい表情をしている。少しの沈黙後、三人が笑顔でこっちに紙袋を持って戻ってきた。
「・・・誕生日おめでとう、沙耶香!」
その瞬間、胸が温かく満たされていくのを感じた。私の誕生日なんて、ずっと忘れられていると思っていた。でも、ここにいる三人は私のことをちゃんと覚えてくれていたんだ。初めて純粋な気持ちで祝われたかもしれない。これからも、この学校で、この4人で、本音で向き合っていきたい。私が私らしくいられる場所。夜空のようにいつまでもどこまでも一緒にいたい。
———やっぱり私は、この三人が大好きだ・・・———
いかがでしたか?
その後「月の子」は、人間界に在中するようになったみたいですね。
「月の子」の存在は契約を結んだ者以外は思い出せないらしいですね。
果たしてその後「月の子」に出会えた者は現れたのでしょうか。
願いを叶える条件は彼彼女を楽しませること。
あなたなら、何を願いますか?
END
――ジリジリ ジリジリ――
「…八時か…起きなきゃ!」
「おはよう、母さん。朝ご飯ありがとね。行ってきます・・・。」
あの日の翌日、家に帰ると母が涙を浮かべながら待っていた。私が家を空けた数時間、母も今までの自分の行動を振り返っていたようだった。あの時、美咲に言われた言葉も、母の胸に深く刺さっていたらしい。そして、あの人から初めて「ごめんなさい」と本音で言われた。その瞬間、何かがふっと溶けたような気がした。
「お父さんが亡くなってから、私が沙耶香ちゃんを守らないとって、空回りしちゃってたみたいね。沙耶香ちゃんのことを思って、沙耶香ちゃんがお父さんみたいになりたいって言っていたのを思い出して・・・。本当に今まで辛い思いをさせてごめんなさい。」母の本音が初めて聞けた気がした。あの人も、私を心配していたんだ。本当の意味で母と向き合えた日になったかもしれない。
その日から、私は自立への一歩を踏み出すことにした。朝は自分で起きて、朝ご飯もちゃんと食べて、将来についてじっくり考えるようになった。そして、母に伝えた。
「私…女優になりたいんだ。」
母は一瞬、困惑した表情を見せたけれど、深呼吸をして私の話を聞いてくれた。いつもなら癇癪を起し、話し合いの余地すら与えてもらえなかったから少し驚いた。でもきっと、母も変わりたいと思っているんだと思う。あの夜から少しずつだけど、私たち家族の間に新しい何かが生まれ始めている気がした。こんな日常が訪れるなんて、まだ信じられない。本当に、三人のおかげだ。感謝してもしきれない。
結局、許可はまだもらえていない。だけど、それも仕方ないことだと思う。突然「女優になりたい」なんて言われて、すぐに受け入れてくれる親なんていない。だけどそこであきらめるような私はもう存在しない。少しずつでも母に本気を伝えていく。あの特別な思い出のように、私もいつか誰かに夢を与えられる人になりたい。絶対になってみせる。そして、三人にいつか恩返しができるようになりたい。
あの日のこと、正直まだ明確には思い出せない。四人でデパートに忍び込んで「月の子」に会えたところまでは覚えているけど、それ以降の記憶が曖昧だ。気が付くとデパートの外にいて、夜明けの空に小鳥のさえずりが響いていた。いつの間にか三人も居なくなっていて、再会できたのは学校についてからだった。なによりも、「月の子」の姿だけがどうしても思い出せない。あれが夢だったのか、それとも現実だったのか、自信が持てない。でも、確かに何かが変わった。
学校へ向かいながら、一人胸の中であの日の出来事を思い出そうとしていた。
「三人とも、おはよ。今日、早いね。」
私の挨拶に、三人がいつもの笑顔で応えてくれる。
「「「おはよ~!」」」
「ねね、思い出した?デパートのこと。」
「ごめん、まだイマイチ。四人で「月の子」に会ったところまでしか・・・。」
「前にも言ってたけど、「月の子」って?私たちは気が付いたら家にいて翌日になってたんだよ・・・。誰かの家にお泊りするって話だったはずなのにさー。」
美咲が不満そうにつぶやく。隣で斎藤はすごい速度でうなずいていた。
「・・・沙耶香、やっぱり覚えてないんだね。」
「?何が?」
しずくが小さくため息をつき、ちょっと苦笑しながら言った。でもなんだか悩みの種が吹き飛んだような清々しい表情をしている。少しの沈黙後、三人が笑顔でこっちに紙袋を持って戻ってきた。
「・・・誕生日おめでとう、沙耶香!」
その瞬間、胸が温かく満たされていくのを感じた。私の誕生日なんて、ずっと忘れられていると思っていた。でも、ここにいる三人は私のことをちゃんと覚えてくれていたんだ。初めて純粋な気持ちで祝われたかもしれない。これからも、この学校で、この4人で、本音で向き合っていきたい。私が私らしくいられる場所。夜空のようにいつまでもどこまでも一緒にいたい。
———やっぱり私は、この三人が大好きだ・・・———
いかがでしたか?
その後「月の子」は、人間界に在中するようになったみたいですね。
「月の子」の存在は契約を結んだ者以外は思い出せないらしいですね。
果たしてその後「月の子」に出会えた者は現れたのでしょうか。
願いを叶える条件は彼彼女を楽しませること。
あなたなら、何を願いますか?
END



