白猫さんは甘党男子

 白猫は幸運を呼ぶことがあるらしい。小さい頃、何かの本で読んだことがある。

 結局昨日はあの後、あの人にもう一度会うことはできなかった。今日も授業の合間を縫って探してはいるけど、見つけられずに昼休みになった。幸運の白猫探しは、そう簡単にいかないらしい。

 私は誰も居ない屋上でお弁当を食べながら、次にどこを探すか考えていた。

「あ、先客がいたか....独り占めできると思ったのに。残念」

 少ししょぼくれたような顔をしながら、私の方に近づいてくる人が見える。

「白猫さん!?」 

 白猫さんは私の隣に、一人分の間を空けて座った。相変わらずとても綺麗な顔立ちで、やっぱり目を奪われてしまう。

「綺麗だなぁ.......」

「何?」

 思っていることがそのまま口から出た。しかも本人の前で。白猫さんは不思議そうな顔のまま私の方をじっと見ている。綺麗な瞳に吸い込まれそうになる。

「あ、あ、あのっ.....」

「なに、具合悪いの」

 上手く言葉が出ない私の顔を白猫さんが覗き込む。人とこんなに近い距離で見つめ合うなんて今まで一度もなかった。白猫さんは、宝石のアメジストのよう紫色の瞳だった。まるでお人形のように綺麗な人とこんなに至近距離で見つめ合うなんて、多分この先一生ないだろう。

「だ、大丈夫です.......えと、近いです.......」

 意識が遠のきそうなのを堪えて、私は立ち上がった。その瞬間、全身からふっと力が抜ける。

「やっぱ体調悪いんじゃん。無理すんなよ」

 コンクリートの地面に体がつく前に、白猫さんの声が上から降ってくる。驚いて目を開けると、白猫さんが私のことを支えてくれていた。

「あ、ありがとうございます......えっ、」

 白猫さんにお礼を言って一つ息をつくとボーッとしていた頭がはっきりしてくるのが分かる。それと同時に自分の置かれている状況に思考が止まる。

「なんで、私膝枕されてるんですか?」