君との恋は面倒すぎる

───Side 薫


 1人取り残された後、紗月が入ってくる。

 惨めな顔を見られたくなくて紗月の方は見られなかった。


「何してんのさ」

「うん、また間違えたっぽい俺」


 そう言ってしゃがみ込むと、そんな俺を気にすることなく紗月は元の席に座った。


「後ろから抱きつかせる為に、2人にしてあげたわけじゃないけど。挙句の果て好きな人の彼氏の悪口まで言ってバカじゃないの」

「あーもう、自覚あるから言うなよ」


 紗月の方を見ると呆れたようにミルクティーを口にしている。

 せっかくタイミングを作ってくれたのに無駄にした。
 それどころか蒼空と日和ちゃんの関係まで悪くさせた。

 何もかも間違えたことにやりきれなくなり、俺も立ち上がってさっきまで座ってた席につく。


「日和はさ、中学3年間本当に柊くんだけを追ってきたんだよ」


 紗月が話し始めるのを黙って聞く。


「そんな好きで好きで仕方ない人の悪口言われたら怒るに決まってない?この短時間で好きになった日和の事でも悪く言われたら腹が立つでしょ」

「…そうだね」


 紗月の言う事は最もだった。

 だけど日和ちゃんの話を最後まで聞かないで言葉を吐き捨てる蒼空を見て腹が立った。更にはその後の日和ちゃんの傷付いた見ていられない顔。

 あんな酷い言い方する奴より絶対俺の方が良いのにって。
 だからって俺があんな言い方して良いはずがなかった。

 傷付けたくないって思ってした言動で傷付けてしまった、好きな子を。