重ねる涙の先で仕合せは紡ぐ。


ichiの曲作りを断るようになってから、巡は"涙(るい)"という名前で個人的にボカロ曲を作り、YouT◯beに投稿するようになった。

すると、瞬く間に巡の曲は再生回数が増えていき、いつしかichiを超えるようになっていった。

YouT◯be内では、ボカロ曲といえば"涙"と言われるまでになった程だ。

そして、わたしはというと今まで1人暮らしをしていたボロアパートを引き払い、完全に巡の家に引っ越し同棲生活を始めた。

巡は2人はワンルームは狭いから引っ越そうか?と言ってきたが、わたしは今のままが良かった。

「部屋が広くなっちゃったら、ベッドに横になりながら巡が仕事してる姿が見えなくなっちゃうでしょ?」

わたしがそう言うと、巡は「お前は、本当可愛いこと言うな。」と言い、頭にキスをしてくる。

わたしの仕事が休みの日は、相変わらず緑丘公園に2人で散歩に出掛けた。

わたしが山の上のベンチに座っていると、「花恋。」と呼ばれ、振り返る。

その瞬間、カメラのシャッターを切る巡。

「もう、またわたしの写真撮ってる。」
「当たり前じゃん。花恋、笑うようになったな。最初出会った時のあの無表情が嘘みたいだ。」

自分でも自覚をしている。
今までわたしには無かった表情が生まれた。

今のわたしは、最高に仕合せだ。

感情に蓋をしてしまう程、たくさんツライ思いをしてきたけど、それがあって今がある。

さよなら、過去のわたし。

そして、はじめまして、新しいわたし。




―END―