〈side 悠〉
自分の部屋ではない、白と黒で統一された家具の部屋。
視線の端には、濃い青色の艶髪に、その髪から垣間見える爽やかなレモン色の瞳。
見ないようにしても、視界に入ってくる。
集中できない・・・。
「・・・どうしたの、悠」
「っん-?なんでもないよ」
いつもの調子で答えたら、きっと魅摘も誤魔化されてくれる・・・。
「ホントに?なんか赤いけど・・・」
「え?なんでだろ?」
・・・彼女に・・・魅摘に照れているってコトくらい、分かってる。
「入学式早々体調不良・・・?慣れない環境だったのかな?」
心配そうにこちらを見つめた魅摘は、なにを思ったのか手を伸ばしてきた。
ひんやりと額に冷たいものが触れる。
「ん・・・」
最初は羞恥心よりも気も強さの方が勝って、喉を鳴らす。
そして、ハッとした。
なにしてんだ俺っ・・・。
「悠・・・?ホントに大丈夫?部屋暑い?まだ早いかもしれないけど冷房つける?」
正直、氷水に頭から突っ込みたい。
「大丈夫。・・・っあ、この問題ってさ・・・」
「・・・ん、あ、ココはね・・・」
無理やり話題を変えると、なにか言いたげな顔をしながらも問題を教えてくれる。
元々理解しているけど、魅摘に教えてもらうと得意分野になった気がする。
「んじゃ、俺帰るわ」
魅摘のほうを見ないようにしつつ、片手で問題集と文房具を持って立ち上がる。
「ん、じゃーね悠」
「おう、頑張れよ」
きっと、魅摘はクラスで一番強い。
煌ですら負ける相手だ、きっと金のトップも認めるだろう。
最初は『女だから』とか言って邪険に扱うだろうが、魅摘はそれに負けるほど弱くない。
きっとなんらかの行動を起こして気に入られるだろう。
女嫌いの集まる繁華街メンバーが魅摘のコトを気に入るのは複雑だが・・・。
まぁ、それだけの魅力が魅摘にはあるってコトだ、諦めよう。
部屋に帰ってソファーにドカッと座る。
「なんなんだよっ・・・」
今日一日、というか魅摘と会ってから。
いつもの俺らしくない気がする。
チャラくて、飄々としてて、女の扱いに慣れてるような仕草をする、余裕な態度の俺らしくない。
「魅摘・・・」
さっきまで一緒にいたのに、また会いたくなってきた。
魅摘の顔を思い浮かべたとたん、その周りにはビデオ通話をした魅摘の家族が出てくる。
3人の内ストッパーの役目を担っていると感じられた魅摘母。
だがその外見とは裏腹に、瞳の奥に昏い感情が俺に向かって蠢いていた。
ちょっと過激ながら愛の深そうな、強そうな魅摘父。
近い距離にいた俺に画面越しにでも伝わるくらいの殺気を向けてきた。
そして穏やかな口調で妹想いな兄の完璧にかぶる魅摘兄。
3人の中で一番怖いと思った人物であり、魅摘に許可なく触れた暁には死んでいると断言できる。
そんな3人に愛される魅摘、本人の実力も重なって最強じゃないのか・・・?
今日繁華街を破壊しないか心配だ・・・。
『悠』
目を瞑ると、彼女に名前を呼ばれた感覚がする。
こんな妄想するなんて、初対面なのに・・・重症だな。
俺は思わず苦笑してしまった。
自分の部屋ではない、白と黒で統一された家具の部屋。
視線の端には、濃い青色の艶髪に、その髪から垣間見える爽やかなレモン色の瞳。
見ないようにしても、視界に入ってくる。
集中できない・・・。
「・・・どうしたの、悠」
「っん-?なんでもないよ」
いつもの調子で答えたら、きっと魅摘も誤魔化されてくれる・・・。
「ホントに?なんか赤いけど・・・」
「え?なんでだろ?」
・・・彼女に・・・魅摘に照れているってコトくらい、分かってる。
「入学式早々体調不良・・・?慣れない環境だったのかな?」
心配そうにこちらを見つめた魅摘は、なにを思ったのか手を伸ばしてきた。
ひんやりと額に冷たいものが触れる。
「ん・・・」
最初は羞恥心よりも気も強さの方が勝って、喉を鳴らす。
そして、ハッとした。
なにしてんだ俺っ・・・。
「悠・・・?ホントに大丈夫?部屋暑い?まだ早いかもしれないけど冷房つける?」
正直、氷水に頭から突っ込みたい。
「大丈夫。・・・っあ、この問題ってさ・・・」
「・・・ん、あ、ココはね・・・」
無理やり話題を変えると、なにか言いたげな顔をしながらも問題を教えてくれる。
元々理解しているけど、魅摘に教えてもらうと得意分野になった気がする。
「んじゃ、俺帰るわ」
魅摘のほうを見ないようにしつつ、片手で問題集と文房具を持って立ち上がる。
「ん、じゃーね悠」
「おう、頑張れよ」
きっと、魅摘はクラスで一番強い。
煌ですら負ける相手だ、きっと金のトップも認めるだろう。
最初は『女だから』とか言って邪険に扱うだろうが、魅摘はそれに負けるほど弱くない。
きっとなんらかの行動を起こして気に入られるだろう。
女嫌いの集まる繁華街メンバーが魅摘のコトを気に入るのは複雑だが・・・。
まぁ、それだけの魅力が魅摘にはあるってコトだ、諦めよう。
部屋に帰ってソファーにドカッと座る。
「なんなんだよっ・・・」
今日一日、というか魅摘と会ってから。
いつもの俺らしくない気がする。
チャラくて、飄々としてて、女の扱いに慣れてるような仕草をする、余裕な態度の俺らしくない。
「魅摘・・・」
さっきまで一緒にいたのに、また会いたくなってきた。
魅摘の顔を思い浮かべたとたん、その周りにはビデオ通話をした魅摘の家族が出てくる。
3人の内ストッパーの役目を担っていると感じられた魅摘母。
だがその外見とは裏腹に、瞳の奥に昏い感情が俺に向かって蠢いていた。
ちょっと過激ながら愛の深そうな、強そうな魅摘父。
近い距離にいた俺に画面越しにでも伝わるくらいの殺気を向けてきた。
そして穏やかな口調で妹想いな兄の完璧にかぶる魅摘兄。
3人の中で一番怖いと思った人物であり、魅摘に許可なく触れた暁には死んでいると断言できる。
そんな3人に愛される魅摘、本人の実力も重なって最強じゃないのか・・・?
今日繁華街を破壊しないか心配だ・・・。
『悠』
目を瞑ると、彼女に名前を呼ばれた感覚がする。
こんな妄想するなんて、初対面なのに・・・重症だな。
俺は思わず苦笑してしまった。



