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魔王様とゴブリンたちが、私を見送りに集まってくれていた。
ゴブリンがすすり泣く中で、魔王様だけは淋しそうに微笑んでいる。
「あの……私が人間界に戻るまで、背を向けていてくれませんか? 穴を通り抜けたら向こう側から声をかけますので、そうしたら塞いでください」
こうお願いしたのは、見られていると別れ難くなるから、というばかりではない。
おしりを必死に引っ張る姿を見られたくない、という気持ちも多分にあった。
「わかったよ」
魔王様はもう、『今すぐ塞いでしまえば』なんて冗談は言わなかった。
私のお願いした通りに背中を向けてくれた。
あとは私が魔王様とゴブリンたちに背を向けて、人間界に帰るだけ。
大きく息を吸いこんでから、穴の正面に立ち、足を踏み出した……
はずが、私はくるりと180度回転して、魔王様の背中目掛けて駆け寄っていた。



