「紫乃と連絡先を交換した時、紫乃の位置情報が分かるようにしといたんだ。僕と愁だけに」
「どうりで……あんな早かったわけだ」
「俺は帰りに家に着いたら連絡しろって言った。……これもこの状況を知るきっかけの一つだ」
たーちゃんの行動にも驚きはある。
だけど、いっちゃんの方がその驚きを上回ってしまう──
「少し前から、お前の言動や行動で違和感を感じてた。だから愁と席を外したあん時、僕は愁とお前を警戒しようって話をしたんだ」
たーちゃんの言葉に、いっちゃんはもう何も返さなかった。
「……紫乃、立てるか?帰るぞ」
しゅーちゃんがわたしに手を貸してくれ、たーちゃんが鞄を持ってくれる。
「で、も」
いっちゃんは──?
聞く前に、しゅーちゃんに持ち上げられそのまま出口へ向かう。



