俊くんがそれを見て可笑しそうに笑う。

不意に、寂しくなった。

暖かくなる頃にはもう、俊くんはここにはいない。

卒業したら、会えなくなっちゃうのかな。


「卒業したくないなあ…。」俊くんが呟く。
「浪人しちゃおっか」
「何言ってんの」
「冗談だって」
俊くんが鼻に皺を寄せて笑う。久しぶりに見た、いつもの俊くんの笑顔だった。

俊くんたちが入試本番を迎えるなか、私たち2年生の日々はいつも通りに過ぎていった。