Deception〜私たちの恋の裏にはそれぞれの思惑が渦巻いている〜

 想乃は思わず眉を寄せた。視線だけで続きを促すと、田代は言いにくそうに口を結ぶ。それでも、続きを話してくれた。

「慧弥さまが、穂花さんの……不適切な行いを公にされたのです。それを見咎め、旦那さまに報告して……『すぐにでも家から追い出すべきだ』と進言されたのです」
「……不適切な行いって」

 想乃は額に手を当てた。想像したくもない言葉が脳裏をよぎる。

「穂花さんが……別の若い男の方と、ホテルに入る様子を……慧弥さまが写真に収めていました」

 浮気。不倫。
心臓がどくんと鳴る。想乃は、自分の考えが的を射ていたことに背筋が冷えた。

「あのいざこざをきっかけに、並樹家の空気は一変しました。旦那さまと穂花さんの仲は冷え切り、今では家庭内別居をしています。慧弥さまは……穂花さんと離婚するよう、強く求めたようですが。再婚してすぐに離婚となると……体裁も良くないから、と受け入れられず……」
「どうして慧弥さんはそこまで……?」

 心の中で思っただけのつもりだった。無意識に口からこぼれていたことに戸惑い、想乃は手で唇を押さえた。

「わかりません」と田代は首を振る。