およそ一時間続いた歓談が終わり、プログラムの7番に切り替わる。
余興としてプロのマジシャンが演壇に上がり、数々の手品を披露して場を盛り上げた。
「続いての余興は並樹慧さまへの感謝の気持ちを込めた演目でございます。慧さまと親交の深い方ならお分かりになるでしょう。浅倉想乃さまにご披露いただきます、ピアノの生演奏でございます」
司会を務める晴彦の紹介を受けて、ぱちぱちと拍手が上がった。深呼吸をひとつ。覚悟を決めて、想乃は舞台の最奥へと進んだ。緊張感から想乃が転ばないよう、演壇のそばまで慧弥がエスコートしてくれる。
「大丈夫。いつも通りで」
「……はいっ」
慧弥の笑顔に鼓舞されて、想乃は確と頷いた。ドレスの裾を少しだけ持ち上げてクッション性の背付き椅子に座る。
手首を組んで回し、両手を開いたり閉じたりしながら手指のストレッチを行う。
ちなみに楽譜はない。今日までの数週間、慧弥に会わない時間を使ってみっちりと練習し、完成度を上げてきた。音符や記号を記した五線譜は、想乃の頭の中にある。
よし。やれる……!
やがて晴彦から三つの曲名が発表され、開始の合図を告げられた。
想乃は黒と白の鍵盤の上に両手を載せ、静かに音を紡いだ。
余興としてプロのマジシャンが演壇に上がり、数々の手品を披露して場を盛り上げた。
「続いての余興は並樹慧さまへの感謝の気持ちを込めた演目でございます。慧さまと親交の深い方ならお分かりになるでしょう。浅倉想乃さまにご披露いただきます、ピアノの生演奏でございます」
司会を務める晴彦の紹介を受けて、ぱちぱちと拍手が上がった。深呼吸をひとつ。覚悟を決めて、想乃は舞台の最奥へと進んだ。緊張感から想乃が転ばないよう、演壇のそばまで慧弥がエスコートしてくれる。
「大丈夫。いつも通りで」
「……はいっ」
慧弥の笑顔に鼓舞されて、想乃は確と頷いた。ドレスの裾を少しだけ持ち上げてクッション性の背付き椅子に座る。
手首を組んで回し、両手を開いたり閉じたりしながら手指のストレッチを行う。
ちなみに楽譜はない。今日までの数週間、慧弥に会わない時間を使ってみっちりと練習し、完成度を上げてきた。音符や記号を記した五線譜は、想乃の頭の中にある。
よし。やれる……!
やがて晴彦から三つの曲名が発表され、開始の合図を告げられた。
想乃は黒と白の鍵盤の上に両手を載せ、静かに音を紡いだ。



