【遅くに電話してごめんね。もう寝ちゃったかな】
【明日は清掃の仕事だったよね。帰りは迎えに行くからそのときに用件を話すよ】

 翌朝。六時に目覚ましが鳴った。鳴り響くスマホを手に音を止める。そのまま慧弥とのトークルームを開けてメッセージを読み取った。

 結局のところ先に届いた【未来人】からのメールのせいで彼からの電話を受けられなかった。着信は数回鳴らされ、十分程度をあけてから再度電話が鳴った。

 その電話にも出なかったためにラインが届いた。わざわざ既読にならないようポップアップ通知を長押ししてメッセージを読んだ。彼に悪いことをしているなという気持ちは確かにあった。

 けれども、電話で直接話したらきっと挙動不審になってしまう。動揺から平静を保てなくなるのは容易に想像できた。だからと言って、想乃を悩ませる不審なメールについて話すのも(はばか)られた。

「……用件」

 ベッドの上に座り込みポツリと呟いた。彼の言う用件ってなんだろう、と思ってしまう。ラインのメッセージで伝えるには長い話になるから、電話、もしくは直接会って話すということだ。

 想乃は返信バーを開き、慧弥にメッセージを打ち込んだ。

【すみません。気づいたら眠ってしまっていて】
【では夜に待ち合わせですね。了解しました】