君と過ごす時(短編)

あっ……、どうしよう……。
「なんで……憂がい、るんだ……っ、今の会話聞いてたか⁉︎」

「……う、うん」
「憂、私たち、恋人に、なったかもしれないの。手出しはしないで」

類ちゃんに、悲しみが胸に響く。

「う、うん!応援、するね!いやーほんと二人はお似合いだね!美男美女でさー、もしかして夏の好きな人って類ちゃんだったんだ、そっかー、おめでとう!」
「憂……」
「もう!類ちゃん誤魔化さないでいってくれたらよかったのに!そしたら応援したのになぁもう、夏だって類ちゃんを好きだって気持ち隠しきれてなかったよ!」

思ってもいない言葉をつらつらと並べる。
そうすることで自分の罪悪感を減らすと思えたけど、逆に胸にヒビが入っていくだけ。

「……っ、憂!あのね、私……」
「……雨が降ってきたよ。赤月、帰ろう。憂も気をつけてな」
「えっ」

夏は困惑顔の類ちゃんを連れていく。
雨が確かに降り始め、だけど私は動くことができない。

どんどん雨がひどくなるが、今の私は風邪をひいてもいいと思うくらいだった。

……私、最低だ。
思ってもない言葉、夏と類ちゃんを傷付けちゃったかもしれないのに、なぁ。

ああ、なんだか、眠いなぁ。

今頃、二人は何してるかなぁ。