「大丈夫ですか?」

俺、椎名賚(しいならい)は、驚いていた。

俺のこと知っているだろ?

絶対、顔目的か金目当てだろ?

女っていうのはよってくる奴は大体そうだ。

絶対に。

だけど、俺の顔知らないのか?

普通に心配されたのはいつぶりだろうか?

これでも俺は総長(そうちょう)っつうのやってんだぞ?

怖くないのか?

普通なら逃げてくぞ?

なぜだ?

なぜなんだ?

でも、今は手当とかしてもらいたい。

病院の人がビビるから…

でも、俺にそんな技術はない。

だが、こいつはできそうだ。

なんか良さそう。

俺だって一応、目とかでどういう人間かは大体分かるんだ。

総長やってるし。

「う〜ん…どうしようか」

いや、どうするも何もないだろ…。

目の前の女は、いかにも「私、料理いつもしてますっ!」って感じだし…。

もしかして、見せ付けてんの?

いや…こんな事考えるな俺。

一旦黙って様子見だ。

「あっ、あの、歩けますか?」

「……。」

は?

歩けるか?

そりゃ歩けるだろ。

逆に歩けなかったら、やべーじゃん

でも、これも様子見。

黙っとく。

「ちょっと待っててください!荷物が多いので置いてきます!ここで待っててください!」

は?

まただが、は?、が出てしまう。

でも、そいつは急いで行ってしまった。