「私は普通の高校生活が送りたかったのに…!毎日喧嘩ふっかけられてもう疲れた!いつかこのか弱い私が、バカヤンキーたちにやられる日もそう遠くはないよね…」


「いやいや、何言ってんだよ。おまえ、昔から俺よりも何倍も喧嘩強いし、多分この学校でも一番だろ。次期トップはおまえだって噂されてるからこそ、みんなおまえのことが気になって仕方ないだけでそれに喧嘩を売りに来てるわけじゃなくて、喧嘩の強さだけじゃなくその整った見た目からみんなおまえに一目惚れしてただ仲良くなろうと話しかけてきてるだけだよ。心底おまえに投げ飛ばされた男子たちが可哀想だよ…」


「はあ?何言ってんの。冗談もそのくらいにしてよね。ヤンキーたちから私みたいな弱っちい女の子が好かれるわけないでしょ。…って、こんなことしてる場合じゃなかった!じゃあね、燈真!お母さんたち待たせてるからもう行く!」


「ああ」



慌てて上履きを履き替えて駆けて行こうとする私に「愛菜!」と燈真が引き止めてきた。



「心配はしてないけど、もしおまえがピンチになって困ってる時は俺が必ず助けるから。だから、安心しろよ」



私も半分冗談で言ったつもりだったけど、少し高校生活に不安を感じていることが燈真にはわかってしまったのかな。


やっぱり長年そばにいる幼なじみなことだけある。



「うん、ありがとう!」