ヤンキーくんたちに溺愛されてます!

「…っ!?」



気づいた時には琥珀の頬を思いっきりビンタしていた。



「なんだこれ、なんて私が一番聞きたいよ!なんなの、やっと想いを伝えられると思ったら記憶を失って私のことなんてなんにも覚えてなくて。それでも思い出してもらえるように、また好きになってもらえるようにって頑張ってるのに何回も心が折れるようなことばっか言ってきて!なのに私が他の男の子とキスしそうになったら止めてくるって…ずるいんだよ!覚えてなくても琥珀の心の中にまだ私が少しはいるんじゃないかって期待するでしょ、ばか!いつまでも記憶なくしてないで早く私のこと思い出してよ!琥珀なんて大嫌い…っ!」



ずっと溜まっていた本音を吐き出すだけ吐き出して、琥珀に背を向けて逃げ出す。



本当はずっと怖かった。


もしもこのまま記憶が戻らなかったら、私はもう琥珀の隣にいられないんじゃないかって。


もう二度とあの笑顔を向けてくれることはないんじゃないかって。



記憶が戻らなくてももう一度好きにならせてみるとかそんなのただの綺麗事だ。


一ヶ月経っても心すら開いてくれない琥珀に、そんな希望を抱いたところで叶う見込みすらない。


…だけど、琥珀を好きだという気持ちは消えてくれないから、だから困るのだ。