お母さんがそこでハンバーグ生地をこねていた手を止めて、思い出し笑いをし出した。
「でもね、結婚式の当日。お父さんったら会場にまで飛び込んできて、私と結婚するのは俺だけだ、なんて言ったのよ。もうびっくりしちゃって。そんな度胸を持ち合わせていたなんて思ってなかったから、思わず爆笑しちゃった。…でもね、私はそこで“この人じゃなきゃダメだな”って思ったの。今は星奈も生まれて、結婚当時はおじいちゃんともギクシャクだったのに孫ができた途端に可愛くて仕方がないんでしょうね。ころっと態度を変えてきてね。おじいちゃんと疎遠になってないのは星奈のおかげってわけよ。お父さんを選んだから、私は星奈と出逢うこともできたし、今とても幸せよ。だから星奈もね、自分の気持ちと向き合って本当に大切な人は誰なのかよく考えて選択すればいいのよ。まだ人生なんてこれからなんだから少しくらい失敗したっていいの」
「…うん」
満足そうに頷いたお母さんが「はい」と混ぜ終わった生地を目の前に差し出してきた。
そこから一人分だけすくい、形をハート型にしていく。
私の気持ち…。
私が“この人じゃなきゃダメだ”と思う人。それは…。
*
「え、星奈、まだ誰にも投票してないの?」
「でもね、結婚式の当日。お父さんったら会場にまで飛び込んできて、私と結婚するのは俺だけだ、なんて言ったのよ。もうびっくりしちゃって。そんな度胸を持ち合わせていたなんて思ってなかったから、思わず爆笑しちゃった。…でもね、私はそこで“この人じゃなきゃダメだな”って思ったの。今は星奈も生まれて、結婚当時はおじいちゃんともギクシャクだったのに孫ができた途端に可愛くて仕方がないんでしょうね。ころっと態度を変えてきてね。おじいちゃんと疎遠になってないのは星奈のおかげってわけよ。お父さんを選んだから、私は星奈と出逢うこともできたし、今とても幸せよ。だから星奈もね、自分の気持ちと向き合って本当に大切な人は誰なのかよく考えて選択すればいいのよ。まだ人生なんてこれからなんだから少しくらい失敗したっていいの」
「…うん」
満足そうに頷いたお母さんが「はい」と混ぜ終わった生地を目の前に差し出してきた。
そこから一人分だけすくい、形をハート型にしていく。
私の気持ち…。
私が“この人じゃなきゃダメだ”と思う人。それは…。
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「え、星奈、まだ誰にも投票してないの?」

