ヤンキーくんたちに溺愛されてます!

そこでチャイムが鳴り、声がでかい女は窓側の自席に戻りさりげなく窓の外を眺めていた。


さっきまでの友達と笑っていた顔とは違って、愛おしそうに優しい顔をして一人の男だけを見つめている。


恋をすると人はあんな顔をするんだ。やっぱり俺には一生理解ができなさそうだ。



…そう、思っていた。



「あの、琥珀にはまだ内緒、ね。今ライバルとかもいて喧嘩もしちゃっててうまくいってないんだけど、頑張るって決めたから。だから言うのは全部頑張ってから。私がヒロインになれた時にって決めたの」



弱いやつだと勝手に決めつけていたけど、月島星奈は今までのやつらとは全然違かった。


琥珀のことを想っている時の月島星奈はより一層強く輝いている。


恋をすると人は弱くもなるし強くもなれるんだと教えてもらった。



いつの間にか月島星奈から目が離せなくて、あいつにだけは嫌われたくないと思っている自分がいた。



「…そうか。これが人を好きになるって気持ちなんだ」



俺はやっと自分の気持ちに気がついた。


恋をしている月島星奈のことがいつの間にか好きになっていたことに。


あいつにだったら面倒なことでも全然苦じゃなくて、コンプレックスに感じていたこの容姿も全部馬鹿らしく思える。



好きだと気づいただけで胸がこんなにも温かい気持ちになるなんて、月島星奈と出会ってから俺は初めて知ることができたんだ。