「…わかったからっ。」



開いてしまった距離を詰めようとした私に、真っ赤な顔をして手を前に出す慎司君。こちらに近づかないでと言っているような手が寂しくて、その手を掴んで更に距離を詰めた。すると耳まで赤くして、今度は両肩を押して私を制止する。



「一緒、いるから…っ。」

「…本当?」



慎司君は目を反らしたまま、こくりと頷く。




「…嬉しいっ! ありがとう!」



思わず抱き着いてしまいたくなった私を、慎司君は焦ったように押しのけて、身を起こした時に脱げていた布団を押し当ててきた。




「………慎司君?」

「今日はもう寝ろ…っ。」



なんでそんな寂しいことを言うんだと恨めしく思ったのも束の間、慎司君がちらっと向けた視線に気づき、恥ずかしくなる。慎司君がこちらをあまり見ないようにして、乱れて胸元が緩んだ浴衣をさっと直してくれたからだ。

慎司君の顔はこれまで見たどの赤さよりも赤いし、私もきっとそうなのだろう。



「ひ、ひゃい…!」



はいという返事は、情けないほど変な声になってしまった。