恋は揺らめぎの間に




本当に、このまま寝てしまっていいのだろうか。

同じ部屋で、お布団で、きちんと眠るのはこれが初めてなのに。冷たく向けられた背中が、とても恋しい。


慎司君に、好きだと言ってほしかったのは何故だろう。私が慎司君を好きだからだろうか。

でも私は、慶人君を今も好きだと思う。

慶人君と慎司君。二人に対するこの気持ちは、何が違うんだろう。世間一般の好きは、どちらに当たるんだろう。

ドキドキしたら、好き? 安心したら、好き?
キスした人と付き合うの?
好きって言ってくれる人と付き合うの? 好きだと言ってはくれない人を、追いかけた方がいいの?

………わからない。これまでずっとわからなかったものが、今突然わかるようになるなんてこともない。ただ、今わかるのは、このまま寝てしまってはいけないってことくらいだ。



「慎司君…起きてる?」

「ん。」



こっち、見てほしい…。

少しだけ、身を寄せて。手を伸ばして、背中に触れる。薄い浴衣越しに、太い背骨を見つけて、それを撫でた。ビクッとした慎司君が、たまらず半身を起こしてこちらを振り返った。




「慎司君、聞いてくれる?」



整理がまだ出来ていないけれど、聞いてほしい。

自分の気持ちもよくわかっていない自分が、ただ一つ、これだけは本当だと言える気持ち。わかっている気持ち。



「私、慎司君と、これからも一緒にいたいの。」