思った通り逆上せていた私は、身体を横にいしている間に、いつのまにか少し眠ってしまっていたようだった。目を開けると室内は薄暗く、夕食の時間が迫っていた。
「…っ大変! 慎司君…!」
飛び起きるも、慎司君の姿はない。温泉に行ったのかとも思ったが、荷物も綺麗に整えられたままで、まだ戻ってきてすらいないようだった。
もうすぐ夕食の時間だけど…。
「まだ戻って来てないのかな…?」
電話をかけるが、繋がらない。ロビーで慎司君を待とうと、浴衣を脱いでまた私服に着替える。
慎司君は約束をきちんと守る人だ。ロビーには本が置かれていたから、それでも読んで待っていれば、すぐに帰って来るだろうと思った。
ロビーに出ると、早速見覚えのある後ろ姿を見つけた。
「慎司君!」
やっぱり戻って来ていたのかと嬉しくなって駆け寄っていって驚く。慎司君の影に隠れて見えなかったが、綺麗な女の人が慎司君と話していたのだ。

