私達は王道のコースを見て回った。有名な寺社仏閣を見て回っていると、少しだけだが心が洗われるような気がした。
二人の間で右往左往している私を、神様仏様は一体どう思っているのだろうか。きっと呆れ返っているに違いない。
「…あ、これ可愛い。」
参道に面したお箸のお店。その店先に飾ってあった赤いお箸が目についた。慎司君は一緒に飾られてあったもう一つの箸を手に取る。
「これ……」
値札を見てハッとする。私が見ていたのは、夫婦箸だったのだ。
「ふ、深い意味はっ……!」
「買う?」
え?
びっくりして顔を上げる。
「気に入ったなら、買う?」

