「ほ、本当に来ちゃった…。」
朝早くから新幹線に乗って、連れてきてもらったのは修学旅行以来訪れる京都だった。
駅を出てまず目にするのは、沢山の人、人、人。
「静香。」
バスに乗るために並ぶ人の流れにふらっと流されていたところを、優しく腰を抱き寄せられて、引き留められる。目の前を、身体の大きな外国人男性が横切っていった。
「危ない。」
「ご、ごめんなさい…。」
慎司君はふぅと息をつく。
「先、宿行くよ。」
慎司君はさっと手をとって歩き出す。手を引かれて歩くのは久しぶりだった。
なんだろう…… この、感じ。
自分の手とは異なり、大きくて、少し角ばっていて、そして冷たい慎司君の手。その手をぎゅっと握り返せば、慎司君は必ずこちらを振り返った。
「お宿は近いの?」
「バスに乗って、少し歩く。」
荷物は全て慎司君が持ってくれている。迷いなく歩いていく慎司君に連れられて着いたお宿は、天然温泉も湧く、小さいけれども風格のある立派な旅館だった。

