しばらくの沈黙の後、慎司君はぺこりと頭を下げた。
「静香ちゃんのお迎えかな?」
「私が呼んだの。」
一華ちゃんがにっこり笑って、視線だけで会話をしていそうな二人の間に割って入った。
「真っ暗の中、静香一人じゃ心配だったからね。」
「そういうのは僕が……」
「まだちゃんとそんな関係じゃないんでしょ? でも、慎司君はそんな関係だよね?」
本当は慎司君ともそんな関係ではないと知っているのに。あくまで知らぬ存ぜぬで通すつもりらしい。一華ちゃんは慶人君を引き留めて、私達を見送る。
「明日明後日は楽しんでね!」
ニコニコ手を振る一華ちゃん。こちらを追いかけてきたそうな慶人君は、何か伝えたそうな顔で私をみてくる。
けれど………
ちらっと隣を見る。
表情はよくわからないけれど、なんだかいつもとは違う雰囲気を纏う慎司君について行った方が、今はなんとなくだが、その方が良いように感じた。

